光陵日誌

入江明日香展

8月22日(木)入江明日香展
 HP(7月20日)にお知らせしましたが、卒業生の入江明日香さんの展覧会が、茨城県天心記念五浦美術館で開催されています。

五浦美術館は、茨城県の海岸沿い最北の北茨城市にあります。最寄りの大津港駅から3km弱と少し遠いのですが、風光明媚なところで、岡倉天心縁(ゆかり)の六角堂なども近くにあります。

会場には、入江さんの初期の作品から現在の作品まで展示されていました。一番古い作品は、入江さんが高校時代(!!)に鉛筆とペンで描いた「習作」で、大学受験を前にいくつも描いた作品の一つだそうです。

黒の版画から、多色の版画へ、抽象作品に次第に顔を出し始める花や動物たち、そして人を描きたいと考えていたときにはっとさせられた子どもの表情との出会い。初めて女の子(人物)を描いた「シロバナハギ」もありました。

入江さんは、自分のスタイルを打ち出して周囲からも認められるようになっていきますが、そこであらためてパリに留学して版画を基礎から学び直しました。現在は、パリで身につけた確かな技術を活かして、新たな作品を生み出しています。(今でも年に1回はパリで版画の勉強をしているそうです)

訪れた展覧会会場には、入江さんの世界に溢れる空間が広がっていました。

どの展覧会でも、実際に作品を目にすると、印刷物や映像とは異なった輝きが感じられます。例えばサイズにしても、画家がそのサイズを選び、そのサイズに合わせて技巧を凝らした表現をしているわけです。大きな絵など、とうてい本には収まりません。色や質感なども、今の印刷では表現しきれません。会場の雰囲気なども考えれば、やはり足を運ぶことが一番です。この展覧会でも、入江さんの作品と実際に空間を共有することで、豊かな時間を過ごすことができました。

印刷物は、本物を思い出すための記憶の案内役か、本物を見ているように思える想像力の養成役といったところでしょうか。会場限定のチラシも手に入れ(会場に入る際に、1枚ずつ渡されました)、実りある1日になりました。

残念ながら建物を出る頃には雨が降りはじめ、つい時間ぎりぎりまで会場にいたこともあり、海の見える展望台などに行きませんでしたが、あらためて訪れたいものです。

展覧会は91()まで。夏休みの最後、行ってみませんか。

 
 
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